BLACK SWAN:一卵性母子
昨日、
映画「BLACK SWAN」を観てきました。
今回の「マスクワーク」のテーマと
似ている気がしていましたので、
とても興味がありました。
そして、みた結果は「Bingo」でした。
映画のストーリ自体は観る人によれば、
今一つと、いう風に思われるかもしれませんが、
「心理学」の観点から見れば、とても奥深いものでした。
「白鳥の湖」のプリマドンナを射止め、
「White Swan」を演ずるために不可欠な
「Black Swan」を如何に表現するか?
主人公「ニナ」が
「完璧」を目指す故に
「Black Swan」が表現できない。
お母さんの期待に応え、
失敗の無い完璧なプリマになる為に頑張るが、
常にトップにはなれない。
卒なくこなせるゆえに、
常に優等生で魅力が無い。
とても「良い子」です。
結果、
正反対の妖艶で悪の化身「Black Swan」が踊れません。
これが「ペルソナ」です。
ここから過酷な試練の中
「Black Swan」が産まれます。(内容は映画を観てください)
「ニナ」の中には「Black Swan」が居ます。
映画の冒頭から姿を現していました。(地下鉄のシーンから!)
彼女の中にある無意識の世界。
「嫉妬、恐怖、恨み、不安、嫉み、妖艶、虚栄心 etc」が
目覚め始めていきます。
ライバルを蹴落とし、
演出家を惹きつけ、
プリマを勝ち取り、
新たなるライバル・リリーの出現により、
こころの中に「封印」してきた
「Black Swan」が目覚めて、
成長していきます。
これこそが「シャドー」です。
「ペルソナ」とは真逆の
「シャドー」が叫びます!
抑え込めば抑え込むほど、凝縮され
「シャドー」が現れた時は、激しく燃え上がります。
「Black Swan」自身が彼女の化身なのです。
特に、
母親からの「トラウマ」により封印が強くなり、
激しく燃え上がります。
母親も優秀なバレリーナでしたが、
「ニナ」を妊娠した事によりバレリーナを諦めます。
そして彼女に、事有る度に話します。
「あなたを妊娠した事は後悔はしていない。
只、キャリアを諦めた!」と。
「地獄のメッセージ」です。
翻訳すれば
「あなたのお陰で、
私は夢を諦めた。
あなたさえ居なければ、
私のキャリアはプリマに成れた。」
つまり彼女の存在自身を
「否定」し続けたのです。
しかしながら、
彼女は母親に認めて貰いたいが為に、
母親の「理想の子供」を演じ続けていくのです。
身体を
「爪でひっ掻く」という信号を出しながらも、
母親の期待に応えようとして
「ペルソナ」を被り続けます。
彼女は、自分の中の「シャドー」により
「Black Swan」を見事に踊ります。
「White Swan」から
「Black Swan」に変化していく演技は、
魅せられました。
特に「Black Swan」のバレーには
吸い込まれるように、釘づけになりました。
でも彼女は、
「シャドー」である「Black Swan」を受け入れることが出来ず、
魅せられたようです。
完璧な「白鳥」を踊る事は出来ても、
「シャドー」の世界に呑み込まれてしまいました。
本当の私を見失いました。
「ペルソナ」と「シャドー」は
「私自身」です。
「光と影」ふたつが一つなのです。
どちらを否定しても、
自分自身を否定する事になります。
母親に存在を否定され、
今度は自分自身を否定したのです。
如何に
「ペルソナ」と「シャドー」を受け入れるかがテーマです。
今回の「マスクワーク」は
「ペルソナ」と「シャドー」の受け入れを目指します。
映画のような激しい葛藤は行ないません。
もっとソフトなところから入りますので、安心してください。
誰の心の中にも潜んでいる「Black Swan」
「私だけが」と言う事は有りません。
久しぶりの印象深い映画でした。