

我慢しなさいのこわさ
プロフェッショナル心理カウンセラーブログ 金崎(TKN心理サロン)
はじめに
「我慢しなさい」
多くの人が子どもの頃に言われてきた言葉です。泣きたいときも、怒りたいときも、欲しいものがあるときも、大人から「我慢しなさい」と言われてきた経験は誰にでもあるでしょう。
確かに社会の中で生きていくには、自己抑制や協調性が必要です。しかし「我慢しなさい」が口癖のように繰り返されると、自分の感情を押し殺し、素直に表現できないクセを作ってしまうのです。
TKN心理サロンでは、カウンセリングの現場やカウンセラー養成の授業を通して、この「我慢の怖さ」を日々実感しています。今回は、その実態を一緒に見つめていきましょう。
「我慢」は感情を押し殺すこと
本来、感情はとても自然な反応です。嬉しければ笑い、悲しければ泣く、嫌なら怒る。これらは生きていくうえで欠かせない自己表現です。
しかし「我慢しなさい」と言われ続けた子どもは、やがてこう信じ込むようになります。
1、「泣いたらいけないんだ」
2、「怒ったら嫌われるんだ」
3、「自分の気持ちを出すと迷惑になる」
こうして「感情=出してはいけないもの」という誤った学習が始まり、心にフタをしてしまうのです。
「いい子」でいる代償
「我慢しなさい」と育てられた子は、周囲から「いい子」と言われがちです。親や先生の言うことをよく聞き、場を乱さず、他人を優先する。表面的には理想的な子どもに見えます。
しかし実際は、
1、本当は嫌でも笑顔で受け入れる
2、頼まれると断れない
3、「大丈夫」と言いながら苦しさを抱え込む
こうして自分の気持ちを犠牲にし続けています。
そのまま大人になると、「他人の期待に応えるために生きる」パターンが続き、職場・家庭・人間関係のあらゆる場面で生きづらさにつながります。
我慢の積み重ねがもたらす不調
感情は抑え込んでも消えることはありません。心の奥に蓄積し、やがて形を変えて現れてきます。
心に現れるサイン
1、常に疲れている
2、理由のない不安
4、イライラや怒りが爆発する
5、気分の落ち込みが続く
体に現れるサイン
1、肩こり・頭痛
2、胃腸の不調
3、不眠
4、慢性的なだるさ
TKN心理サロンに来られる方の中にも、「なぜかわからないけれど苦しい」という背景に、長年の「我慢の蓄積」が隠れているケースが多く見られます。
我慢と忍耐は違う
ここで整理しておきたいのは、「我慢」と「忍耐」の違いです。
1、我慢 … 自分の気持ちを押し殺して耐えること
2、忍耐 … 自分で目的を選び、そのために耐えること
資格試験のために勉強時間を優先するのは「忍耐」であり、自分で選んだ行動です。そこには達成感や成長があります。
一方、嫌なことを「断ったら嫌われるから」と続けるのは「我慢」。選択権を手放し、自分を犠牲にしているため、心身をすり減らしてしまいます。
事例:断れない女性のケース
ある30代女性のクライエントさんは、職場でも家庭でも「頼まれると断れない」と苦しんでいました。幼い頃から「お姉ちゃんだから我慢しなさい」と言われ続け、気づけば「我慢=愛されること」と思い込んでいたのです。
カウンセリングを通じて「嫌なことは嫌と言っていい」と気づき、初めて友人に「ごめんね、今日は行けない」と伝えられたとき、肩の荷がすっと下りたと話してくれました。
これは小さな一歩に見えて、本人にとっては大きな解放でした。
我慢しない練習
長年の「我慢グセ」を手放すのは容易ではありませんが、次のようなステップを意識すると変化が始まります。
自分の気持ちを意識する
「私は今どう感じている?」と自問する。小さな自己主張から始める
「砂糖は入れないでください」と伝えるなど、身近なことから。気持ちを書き出す
言えない気持ちは紙に書き出して整理する。安全な場で表現する
信頼できる相手やカウンセラーに本音を話す。
子育てでの工夫
子どもに「我慢しなさい」と言わなくても、ルールを伝える方法はあります。
1、「あとでね」:欲求を否定せず順番を伝える
2、「どうしたい?」:選択肢を与える
3、「気持ちはわかるよ」:感情を受け止めた上で行動を促す
こうした声がけで、子どもは「気持ちは大切にされている」と感じ、自己表現を学んでいきます。
まとめ
「我慢しなさい」という言葉は、子どもをしつける意図で使われますが、繰り返されると「感情を抑えるクセ」を育ててしまいます。大人になってからも「断れない」「感情を出せない」「生きづらい」という問題の根底に、この言葉が潜んでいることが多いのです。
大切なのは「我慢」ではなく「自分で選んで行動すること」。
心理カウンセリングは、その力を取り戻すための場です。
TKN心理サロンからのご案内
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私たちは「人の心を癒す前に、まず自分の心と向き合う」ことを大切にしています。
1、我慢しすぎて生きづらいと感じている方
2、心理を学びながら自分自身を癒したい方
3、将来、心理カウンセラーとして活動したい方
そのための学びと実践の場を、随時ご用意しています。
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