

TKN心理サロンの石垣島研修
🌴クラブメッド石垣島の空中ブランコに学ぶ「今ここ」の心理学
― ゲシュタルト療法と“手放す勇気” ―
はじめに:海風に揺られるブランコで気づいた「自分」
青い海と空の間に、ひと筋のブランコが揺れていました。
クラブメッド石垣島――家族や友人連れでにぎわうリゾートで、私はふと「空中ブランコ体験」の看板に目をとめました。
カウンセラーという仕事柄、人の“心の動き”を観察するのが日常ですが、
自分の心に向き合う時間は意外と少ないものです。
「怖そう」「でもやってみたい」
その相反する気持ちを抱えながら、私はブランコの階段をのぼりました。
この体験が、ゲシュタルト療法の核心“今ここ”の気づきを、
まさに身体で感じる時間になるとは、思ってもいませんでした。
1. 飛ぶ前の「怖さ」は、心が語るサイン
足場の先で見下ろすと、目の前には広がる海。
高所恐怖症ではないはずなのに、体がすくみます。
インストラクターが笑顔で「だいじょうぶ、信じて!」と言うけれど、
その“信じる”が、なかなかできない。
ここで思い出したのが、**ゲシュタルト療法の出発点――「気づき(Awareness)」**です。
フリッツ・パールズが提唱したこの療法では、
「自分の感情・身体感覚・思考に気づくこと」こそが、変化の第一歩とされます。
「私はいま、怖がっている」
「落ちたらどうしようと思っている」
「コントロールを失うのが怖い」
ただそのことに“気づく”だけで、人の内面は少しずつほぐれていく。
多くのクライエントも、悩みを話すとき、
「何が怖いのか」にまだ気づいていないことがあります。
気づくことで初めて、“それをどう扱うか”を選べるようになる。
ブランコに乗る前のこの瞬間は、まさにその練習のようでした。
2. 「今ここ」に戻ると、体が自然に動く
「3、2、1、GO!」
掛け声と同時に足を離すと、
風が頬を打ち、体が自然と前に運ばれます。
その瞬間、頭の中は“無”になります。
考える暇がない。
ただ感じる――風、空、音、体の重み。
これが、ゲシュタルト療法の核心概念**「今ここ(Here and Now)」。
人は過去の後悔や未来の不安に囚われやすいですが、
癒しが起こるのは、「今この瞬間」**だけです。
ブランコを漕ぎながら、私は思いました。
“私たちは、思考の中で生きすぎている。”
頭の中の「〜すべき」「〜ねばならない」が消えると、
身体は驚くほど軽く、自然に調和して動き始めます。
TKN心理サロンのカウンセリングでも、
「体感に気づくワーク」を行うことがあります。
呼吸、姿勢、筋肉の緊張に注意を向けると、
“今”の自分の状態が見えてくる。
ブランコの上での感覚は、それとまったく同じものでした。
3. 空中で感じた「つながり」――コンタクトの瞬間
風を切りながら宙に浮くと、
下からスタッフが「ナイス!」「そのままー!」と声をかけてくれます。
その声が、まるで安全な“グラウンディング”のように心を支えてくれる。
ゲシュタルト療法では、人や環境との関わりを**「コンタクト」**と呼びます。
コンタクトとは、“自分と他者が出会う境界線”。
その関係の中で、私たちは自分を体験し、世界を知っていきます。
「私は、支えられている」
「私は、世界とつながっている」
この感覚が生まれた瞬間、人は孤立感から解放されます。
カウンセリングもまさに“コンタクト”の場。
カウンセラーとの信頼の中で、
クライエントは安心して“自分自身”を取り戻していきます。
空中ブランコでの「声のキャッチ」は、
心理的な“共感のキャッチ”そのものでした。
4. 「落ちる」ことを恐れない ― 未完了の完結
何度目かの挑戦で、私はキャッチを失敗しました。
手が届かず、ふわっと落下。
でも下のネットがしっかり受け止めてくれました。
そのとき、涙が出そうになりました。
なぜ泣きそうになるのか――それも「気づき」です。
ゲシュタルト療法には、**「未完了の完結」**という考えがあります。
心の中で“完結していない体験”が残っていると、
人は同じパターンを繰り返す。
それを感じ切り、統合することで、
人は次のステージへ進むことができるのです。
「落ちても大丈夫だった」という実感は、
“安全に失敗する”という大切な体験。
これが、心のレジリエンス(回復力)を育てます。
「落ちてもいい」
「私は支えられている」
「もう、怖くない」
このプロセスこそ、ゲシュタルト的成長の本質。
空中ブランコは、まさに“人生の縮図”なのです。
5. クライエントの声:「怖さの向こうに自由があった」
カウンセリングの現場でも、同じような気づきをされた方がいます。
「私はずっと、人に頼るのが怖かったんです。
でも、金崎先生と話しているうちに、
“怖くてもいいんだ”と思えました。
空中ブランコみたいに、一歩手を離したら、
思ってたよりずっと自由だった。」
この言葉は、まさにゲシュタルトの真髄です。
「怖さ」は消すものではなく、“感じて、受け入れて、越えていく”もの。
その過程で、人は自分の本当の力に気づきます。
6. カウンセリングと空中ブランコの共通点
心理カウンセリングのセッションも、空中ブランコとよく似ています。
1、最初は「怖い」
2、安心できる土台(セーフベース)がある
3、支えてくれる声(カウンセラー)がある
4、飛ぶのは自分自身
5、手放すことで、自由を得る
TKN心理サロンでは、クライエントの「今ここ」を大切にします。
無理に変えようとはせず、今感じていることを共に味わう。
その体験が、“生きる力”を再び呼び覚ますのです。
ブランコに飛び出した瞬間のあの感覚――
それは、カウンセリングの“気づきの瞬間”とまったく同じ。
世界が広がり、自分が少し好きになる瞬間です。
7. 統合の静けさ ― 「感じきる」ことの癒し
体験後、海辺で風に吹かれながら、
心の中が静かに整っていくのを感じました。
身体が覚えた“恐れ”“勇気”“信頼”が、
一つの物語としてまとまっていく。
ゲシュタルトではこれを**「統合」**と呼びます。
ばらばらだった感情がつながり、
自分の中に“全体性(ゲシュタルト)”が生まれる。
人はこうして、過去の自分も、失敗も、恐れも、
すべて“自分の一部”として抱きしめられるようになります。
8. 専門的解説:ゲシュタルト療法とは
ここで少し専門的に、ゲシュタルト療法を整理しておきましょう。
目的 :「気づき」を通して“今ここ”を生きること
理論 :背景実存主義・人間性心理学・身体心理学キー
概念 :Awareness(気づき)、Contact(接触)、Completion(完結)
実践 :体感・ロールプレイ・椅子対話・呼吸への意識など
パールズはこう語っています。
「人は“いまここ”を生きるとき、最も完全で、最も自由である。」
TKN心理サロンでは、この理論をベースに、
「思考ではなく体験からの気づき」を重視したカウンセリングを行っています。
9. 心理カウンセリング大阪・TKN心理サロンが伝えたいこと
大阪で30年以上にわたり、TKN心理サロンは“心の専門家を育てる場所”として活動しています。
単なる知識の学びではなく、
自分自身を知り、癒し、他者を理解する力を育てることを目的としています。
1、心理カウンセラー養成講座
2、カウンセリング実習
3、自己成長セッション
そのすべてが、「今ここ」のゲシュタルト的学びにつながっています。
「頭で理解する心理学」から
「体で感じる心理学」へ。
クラブメッド石垣島での空中ブランコ体験は、
まさにその象徴でした。
心を解放し、自分とつながり、世界を信じる――
それが、本当の意味での“癒し”です。
10. 終わりに:飛ぶ勇気を、もう一度
空中ブランコで感じた風、恐れ、喜び、そして静けさ。
それらすべてが、今の私を形づくっています。
「人生は、落ちても大丈夫。」
「怖くても、飛んでみよう。」
「そして、今ここを生きよう。」
ゲシュタルト療法は、特別な人のための心理学ではありません。
誰の中にもある、“感じる力”を取り戻すための道です。
もし今、あなたが何かに迷っているなら――
どうか、一歩を踏み出してみてください。
風がきっと、あなたの背中を押してくれます。
🌺TKN心理サロンより
大阪で心理カウンセリング・心理学講座を通じて、
「今ここを生きる心の力」をサポートしています。
心理カウンセリング大阪/ゲシュタルト療法/今ここ/TKN心理サロン
すべての体験は、あなたを“全体(ゲシュタルト)”へ導くプロセスです。
🪶執筆:金崎(TKN心理サロン/心理カウンセラー)
「空を飛ぶ勇気は、誰の中にもある。
その勇気に気づくことが、癒しのはじまりです。」