大阪のカウンセラーの学校:看護師、介護士、保育士の皆様へ
なぜ私たちは「我慢」してしまうのか
人のケアをする仕事を選んだ方の多くは、驚くほど高い共感力と、強い責任感を持っています。目の前の人が困っていると放っておけない、自分が動くことで誰かが助かるなら喜んで動く。それは素晴らしい長所ですが、一歩間違えると「過度な自己犠牲」になり、あなた自身を追い詰める原因になってしまいます。
心理学では、このように常に自分を後回しにして我慢してしまう心理の背景に、いくつかの要素があると考えます。
ひとつは「他人軸」で生きてしまう心の癖です。 私たちは幼少期からの育ちや環境の中で、「良い子でいなければ愛されない」「役に立たなければ居場所がない」というメッセージを無意識に受け取ってしまうことがあります。すると、自分の本音(疲れた、やりたくない、休みたい)よりも、他人の期待(期待に応えたい、認められたい)を優先することが当たり前になってしまいます。
もうひとつは「境界線(バウンダリー)」の曖昧さです。 相手の感情と自分の感情の間に境界線を引くことが苦手なため、相手の不機嫌や苦しみを「自分のせいかもしれない」「自分が何とかしなければならない」と過剰に引き受けてしまいます。看護師であれば患者様の不安、介護士であれば利用者様の不満、保育士であれば保護者様のイライラを、まるで自分の課題であるかのように背負い込んでしまい、結果として常に緊張状態で過ごすことになります。
我慢することは、一時的にその場の波風を立てないための解決策に見えるかもしれません。しかし、心の中で抑圧された感情は決して消えることはありません。小さな「我慢」が積もり積もると、ある日突然、燃え尽き症候群(バーンアウト)となって心身の健康を損ねてしまうのです。
援助職につく人の心理と「優しさ」の本質
そもそも、なぜ私たちは「看護師」「介護士」「保育士」という、肉体的にも精神的にもハードな援助職を選ぶのでしょうか。そこには、とても純粋で、同時に非常に繊細な深層心理が働いています。
心理学において、他者を援助したいという強い欲求を紐解くとき、「インナーチャイルド(傷ついた内なる子ども)」や「メサイアコンプレックス(救済者願望)」という概念が語られることがあります。 かつて幼少期に、家族の間で十分に甘えられなかった、親の顔色を伺って生きてきた、あるいは誰かの役に立つことでしか自分の存在価値を感じられなかったという経験を持つ人は、大人になってから「誰かを救うことで、間接的に自分を救おうとする」傾向があります。
「誰かをケアしているときの自分こそが、価値がある人間だ」
そう無意識に信じ込んでいると、ケアをする相手がいなくなったり、相手から感謝されなかったりしたときに、自分の存在意義そのものが揺らいでしまいます。これが、援助職の方々が無理をしてでも働き続け、我慢を重ねてしまう大きな要因のひとつです。
では、本当の「優しさ」とは何でしょうか。 他者のために自分を犠牲にし、ボロボロになりながら差し出す手は、一見すると美しい優しさに見えます。しかし、自分を大切にできない人が、他者を本当に健康的に愛し、支え続けることは困難です。 真の優しさとは、まず自分自身の心の器をたっぷりと満たし、そこから溢れ出たエネルギーを他者に分けてあげることです。自分のコップが空っぽなのに、相手に水を注ごうとすれば、いつかコップ自体が割れてしまいます。 自分を最優先にケアすること。それこそが、長くこの素晴らしい仕事を続け、本当の意味で他者に優しくあり続けるための絶対条件なのです。
ゲシュタルト的な関わりとは、今、ここを生きること
TKN心理サロンが推奨する「ゲシュタルト療法」の視点は、日々忙しく働く援助職の皆様に、大きな解放感をもたらしてくれます。
ゲシュタルト心理学における中心的なテーマは「今、ここ(Here and Now)」に集中することです。 私たちは日々、仕事中に「さっきの対応は正しかっただろうか」と過去を後悔したり、「明日の夜勤は忙しくなるのではないか」と未来を不安に思ったりしています。しかし、心ここにあらずの状態で目の前の業務をこなしていると、脳も心も疲弊してしまいます。
ゲシュタルト的な関わりの第一歩は、頭の中でぐるぐると回っている思考を一旦止め、今この瞬間の「身体の感覚」や「感情」に気づく(アウェアネス)ことです。
例えば、ケアの現場で誰かの愚痴や怒りを受け止めているとき、あなたの呼吸はどうなっていますか。浅くなっていませんか。肩に力が入っていませんか。胸のあたりがモヤモヤしていませんか。 その「今、ここ」で生じている自分の身体感覚に意識を向け、ただ「ああ、私は今、緊張して肩が上がっているな」「悲しい気持ちになっているな」と、ジャッジせずに認めてあげるのです。
また、ゲシュタルト療法では「全体性」を重視します。人間は、理性だけでできているわけではありません。感情も、身体の感覚も、すべてが合わさってひとつの存在です。 「看護師としてこうあるべき」「保育士なら笑顔でいるべき」という「役割の自分」だけを生きようとすると、そうではない「本来の自分」との間に深いギャップが生じ、苦しくます。 「今、私は怒っている」「今、私は本当に疲れている」という、役割からはみ出してしまう生身の感情を否定せず、それも自分の一部として温かく受け入れてあげること。これが、ゲシュタルト的な関わりが教えてくれる、最大の自己受容です。
学校や現場で役立つ、対人関係のゲシュタルトアプローチ
このゲシュタルトの視点を、学校教育や職場の人間関係、あるいはケアの現場に落とし込むと、驚くほど人間関係がスムーズになります。
私たちは相手をコントロールしようとするとき、大きなストレスを感じます。 「なぜこの患者様はリハビリを頑張ってくれないのか」 「なぜこの子どもは言うことを聞いてくれないのか」 「なぜ同僚はもっと気を使って動いてくれないのか」
これらはすべて、相手を自分の思い通りに変えようとする「コントロールの欲求」から生まれます。 しかし、ゲシュタルトの哲学に「ゲシュタルトの祈り」と呼ばれる有名な言葉があります。
私は私のことをする。あなたはあなたのことをする。 私はあなたの期待に応えるためにこの世にいるわけではない。 あなたも私の期待に応えるためにこの世にいるわけではない。 もしも私たちが分かり合えるなら、それは素晴らしいこと。 もし分かり合えなくても、それは仕方のないこと。
この考え方は、冷たく突き放しているように聞こえるかもしれませんが、実は究極の尊重と愛の形です。 相手は相手の人生を、相手のペースで生きている。私は私の人生を、私のペースで生きている。 この「課題の分離」を明確に意識することで、相手に対する過度な期待や執着が手放せます。
看護、介護、保育の現場において、相手のありのままをただ「今、ここ」で観察し、評価を加えずに寄り添うこと。相手を「変えよう」とするのではなく、「ただそこに共にいる」こと。この関わり方を知るだけで、他者支援の質は劇的に変わり、あなた自身の負担も劇的に軽くなります。
自分を癒すための具体的なセルフケアテクニック
それでは、心が疲れてしまったとき、日常生活の中で簡単に実践できる「自分を癒すセルフケアテクニック」をいくつかご紹介します。どれも道具は要らず、数分でできるものばかりです。
ひとつめは「セルフプレジャー・ブレス(慈愛の呼吸法)」です。 心が波立っているときは、呼吸が浅く、速くなっています。まずは静かに座り、片手を胸に、もう片手を自分のお腹に当てます。 そして、自分の手の温もりをじんわりと感じながら、ゆっくりと息を吐き出します。体の中のネガティブな感情や疲れが、息と一緒にすべて外へ出ていくようなイメージです。 次に、吸う息とともに、温かく優しい光が胸いっぱいに広がっていくのをイメージします。これを数回繰り返すだけで、自律神経が整い、脳が「今は安全な場所にいる」と認識してリラックスモードに切り替わります。
ふたつめは「エクスプレッシブ・ライティング(感情の書き出し)」です。 心の中に溜まったモヤモヤや、仕事での愚痴、誰にも言えない本音を、ノートにひたすら書き殴ってみてください。誰に見せるわけでもありません。「こんなことを思ってはいけない」という制限を外し、思いつく限りの言葉をそのまま吐き出します。 書き終えたら、その紙を破って捨てるか、ただ眺めるだけで、心の中に溜まっていた感情のゴミが外に排出され、頭がすっきりと整理されます。心理学的にも、感情を言語化して視覚的に捉えることは、強いストレス低減効果があることが証明されています。
みっつめは「スモールステップの『ノー』を言う練習」です。 我慢癖のある人は、他人の頼みごとを断るのが大の苦手です。まずは日常生活の非常に小さな場面から、自分の「嫌だ」「やりたくない」を表明する練習をしてみましょう。 例えば、同僚からのちょっとしたお菓子の勧めを「今は結構です」と断る、気が乗らないお茶会を「今日は予定があるので」とパスするなど、罪悪感を感じない程度の小さな「ノー」から始めます。 断ることは、相手を否定することではなく、自分の限界を守るための大切な防衛策です。少しずつ練習を重ねることで、本当に断るべき仕事の抱え込みや、理不尽な要求に対しても、健康的に「ノー」と言える強さが育まれていきます。
TKN心理サロンがあなたに寄り添います
日々の忙しさの中で、自分の心が限界を迎えていることにすら気づけないことがあります。 「私がやらなきゃ誰がやるの」 その強い責任感はとても美しいものですが、どうかその手を、たまには休めてください。
あなたが他者を温かくケアするように、あなた自身も誰かから温かくケアされ、大切に扱われる権利があります。 TKN心理サロンでは、ゲシュタルト療法やカウンセリングを通じて、あなたが抱え込んできた重い荷物を一緒に下ろし、ありのままの自分を取り戻すお手伝いをしております。
「少し話を聞いてほしい」 「自分の我慢の癖を根本から見つめ直したい」 「仕事のストレスで心が壊れそう」
どんな小さなお悩みでも構いません。まずは自分を癒すための第一歩として、当サロンの扉を叩いてみてください。私たちが全力で、あなたの「今、ここ」の気持ちに寄り添い、優しくサポートいたします。
あなたの優しさが、あなた自身を傷つける刃になるのではなく、あなた自身をも温かく包み込む光となりますように。心から応援しています。
TKN心理サロンは、大阪、難波で心理学の学校、カウンセラー養成講座を行っています。駅から近い、通うのに便利な場所にあります。
心理学の基礎、理論、実践とカウンセラーに必要な知識をお伝えしています。
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プロフェッショナル心理カウンセラー
金崎健二

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